2014年5月20日火曜日

酒の味

二十歳になってからすぐ飲みはじみたウイスキーを、未だにうまいと感じるわけでもないのに、毎日のように飲んでいる。
忘年会の席で、ビールっていつ頃からうまく感じるのかと聞いたことがある。その人は酒は味わうものではなく、楽しむものだと言った。人と人とでたのしく飲むものだと。

しかし、私がシングルモルトスコッチに手を出したのは、味わう酒だとおもったからだ。数多くの蒸留所ごとにボトリングされるスコッチは、その多様な環境ごとの個性豊かな、味や香りを選ぶことができる。

ふたを開けてみれば、たしかに豊かな香りを感じ、口に含めば、強いアルコールの刺激にかき消されてしまうまでのほんの少しの間に、微かな甘みとモルトを感じる。
ただ、これをうまいと言われてもピンとこない。
香りについては良さがわかる気がするが、味は・・・。

どうやって味とそれとが結びついたのかわからない比喩や、売り文句的誇張に、私の貧しい心は惹かれてしまったのだろう。どこにでも人はいる。酒を作り、売るのもまた人だ。孤独に楽しめる酒などないのだろう。あるとしても、それを楽しむには文化や人と、日常的に深く触れていて、内面からもそれらがあふれてくるような、そんな人が、すこし離れた所で飲むことによって感じることができるようなものでしかないのだろう。

心開く友人もいなければ、開く心もないような日々に飲む酒は、味けないが香り高い。

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